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数字を読み解く
数字を読み解く

3月 01 2025 / ラウンド・ザ・テーブル誌

数字を読み解く

経営者目線でMDRTビジネス・パフォーマンス分析からトップ・パフォーマーと比較する。

対象のトピックス

「マーケティングに経費をかけすぎているのだろうか。それとももっと経費をかけるべきだろうか」とRobert Cullen, FSCP, MBAは悩んでいました。現在13年間MDRT会員を続けている米国カリフォルニア州King CityのCullenはファイナンシャル・サービスの仕事に取り組んで10年ほど経過したころに行き詰まりを感じ、ライバルはどうしているのか、友人たちはどうしているのか判断できないでいました。

そのころ、依頼に応じてMDRTビジネス・パフォーマンス分析のアンケートに答えて提出しました。当時はベンチマーク調査という名称でTOT会員とCOT会員を対象にした調査結果から、仲間はどのように経営しているのか、マーケティング経費の割合も適当であると知り、安心することができました。

「データを大量に入力すると、システムが計算して、同業他社との比較レポートをもらえます。これはすごいと思いました」とCullenは語ります。

それは今から4年ほど前のことでした。それ以来、Cullenはスタッフ増員や進捗の把握のためにビジネス・パフォーマンス分析を活用し、大きな恩恵を受けています。では2024年の結果を見てみましょう。

  • 246名のトップ・オブ・ザ・テーブルおよびコート・オブ・ザ・テーブル会員がアンケートに参加してくださいました。それぞれのパフォーマンス、収益性、報酬レベル、スタッフ、そして出資者についても教えていただきました。
  • 注力している投資分野を3つ挙げていただきました(インフォグラフィック参照)。
  • 2024年上旬に実施したアンケートにつき、会員の実績は2023年のものです。

事業拡大の可能性

数字が大好きな自称「ビッグデータ・ガイ」のAaron Kane, B Bus, AFAにとって、定量的な数字に注目することは目新しいことではありませんでした。しかし、多くのアドバイザーと同様、オーストラリア・ビクトリア州Wheelers Hillで活躍する11年間MDRT会員のKaneはスタッフの確保に頭を悩ませていました(調査結果でも最大の課題第2位)。アドバイザーが事務サポートに投じる費用、アドバイザー対アシスタントの比率、オンショアとオフショアの人数構成などの分析を見ることで、仲間たちはどのような事業を展開しているかを理解でき、何とかしなければならないことが分かってきました。

約200名のお客さまにファイナンシャル・プランとリタイアメント・プランを提供しているKaneは一大決心をして2024年にスタッフを4名増員し、合計13名のチームを構成しました。そのきっかけは、仲間と比べて事務スタッフのサポートが手薄だったと認識したことです。4人の新人は全員、チームのメンバーとしてお客さまにより早くサービスを提供し、より早く新規顧客を獲得できるよう支援する仕事に貢献していて、既に採算は取れています。

「実際には追加スタッフを入れられる資金的なゆとりができる半年前から採用活動を始めました。適切なメンバーを獲得して現在のスタッフをプレッシャーから解放すれば新規顧客と資金を受け入れるゆとりができることは分かっていました」とKaneは語ります。

Cullenも2024年にスタッフを増やしたいと考えていました。過去の報告書によると、同種のビジネスと比較して少ない人員で運営していることが判明したからです。収益全体の伸びと正社員1人当たりの収益を計算することでCullenは正社員としてカスタマーサービス担当者を雇うべき時期が来たと判断しました。

「アンケートに参加したトップ・パフォーマーたちは多くのスタッフを配置していると感じたので、人員を追加してみようと思いました」とCullenは述べました。小さな町では人の採用は難しいと思い込んでいました。「実際には良い刺激となりラッキーでした」

Kaneと同様にCullenも電話や社外へのマーケティング活動を新人スタッフに任せたおかげで、事業の成長は従業員のコストを予想以上に早く上回りました。さらにCullenの負担が減り、付加価値の高い活動に集中できるようになったことで、ストレスレベルが下がり、ホール・パーソンとしてのメリットを実感するようになりました。

毎年調査を続けることにより、どのように向上しているかが数値的に分かります
—Robert Cullen

コスト分析

Kaneは報告書のガイダンスからさらなる改善に努めました。例えば、自分がエクイティ・パートナーとしてもたらしている収益を同業者と比較した結果、自分の給料は相場を大きく下回っていることに気付いたため、昇給が必要だと認識しました。またテクノロジーへの投資額が他社より少ないことに気付いたのでお客さまとの面談の記録用にAIメモ記録装置を導入しました。以前は面談の内容を記録するのに30~45分かけていましたが、現在はChatGPTが2分で文字起こしをし、それをスタッフが10分程度で整えて出来上がりです。週に10件程度の面談をこなしていたので、1件ごとにこのプロセスによる時間短縮を実現でき、その成果はKaneの2025年度の実績に反映されることになります。

「この調査の一番大事なポイントは単なるデータとしてではなく、記入するプロセスのインプットを通して前年との比較によってどれだけ改善できたかを実感できることです」とKaneは述べます。

スタッフ増員の成果としてマーケティングに注力できる環境が整った彼は、普遍的テーマを扱ったコンテンツの外注に加え、TikTok動画を作るようになりました。スタッフの増員によりできた時間は毎週木曜の午前中にビデオの収録をするゆとりとなりました。ビデオの内容は顧客に勧めた戦略やシナリオ、既存の顧客に対して行ったサービス、オーストラリアの税金や政府の政策が退職後にどのような影響を与えるかについての金融教育など、多岐にわたります。このビデオをきっかけに8名の方のリタイアメント・プランを策定し、新規顧客として10万ドルの収入につながったと見積もっています。

その延長線上で、M&Aの可能性を検討すべきだと感じるようになりました。これまで考えたこともなかったのですが、成長の手段として実施している仲間が増えていることを知りました。さらに、生命保険をもっと優先的に扱う必要性を再認識しました。保険からの収益が思っていた以上に大きいことに加え、同業者はもっと多くの生命保険を扱っていました。

このような収穫はCullenが調査レポートを気に入っている理由でもあります。この調査レポートには学び成長し続けながら長期的・短期的な視野を持てるという利点があります。

「もし5年前に自分のビジネスの価値を聞かれたら『見当もつかない』と答えたでしょう。でも調査結果を分析して顧客1人当たりの収益、プロデューサーとしての収益率などを分析できました。さらに、もしも将来自分のビジネスを公開市場で売却するとしたら、どのような市場価値があるかを把握できるようになりました。毎年調査を続けることにより、どの程度改善しているのかが数値的に分かりますし、時系列での傾向や成長が分かるという点で、さらに価値を高めています」とCullenは述べました。

MDRTビジネス・パフォーマンス分析の詳しい情報をご希望の方はhbooton@mdrt.orgにお問い合わせください。

Contact

Robert Cullen rcullen@farmersagent.com
Aaron Kane aaron@ekfinancialgroup.com.au